現在音大に通っている、これから通いたい!と思っている、みなさん!
卒業後の仕事に不安があったり、卒業生はいったいどうやって生計を立ててるんだろう?と気になりますよね。
私もそうでした。
音大と言っても、専攻によって選択肢も様々です。
職業の横に、その業種で活躍している楽器を書いています。また、気になるそれぞれの職業の給料の相場も書いていますので参考になればと思います。
演奏の仕事
音大では上手に演奏するための技術や表現力を学ぶわけなので、それでお金を稼ぐことができたらそんな幸せなことはありませんよね。
ブライダル系の演奏(声楽、ピアノ.ヴァイオリン、フルート等)

結婚式や披露宴で演奏します。
個人で仕事をもらうのではなく音楽事務所に登録して派遣されるのが一般的です。
報酬は結婚式だと1件3千円〜、披露宴だと1万円〜くらいからで事務所によって条件が違います。
仕事内容も、歌うだけで良い会場もあれば、参列者の案内や挙式のリハーサルを任されるところまで、様々です。
1日に複数件数受注することもあるので大きく稼ぐこともできます。
曲目や挙式の流れを一度覚えれば、あとは件数をこなすだけなのはメリットと言えるでしょう。
多くの人は在学中から働いています。
私は最初の事務所は先輩の紹介、そのあとお世話になったところもほとんど友人の紹介でしたが、求人を出している事務所もあります。
土日がメインのお仕事ですが挙式の多い時期少ない時期があり、いつでも仕事があるわけではないので複数事務所の掛け持ちをおすすめします。
レストランやバーなどで演奏(全専攻)

ピアノの置いてあるお店で、食事をしている人に聴いてもらいます。
演奏へ派遣事務所からの紹介のほか、お店が直接募集していることもあります。
割合としてはピアノでの演奏が多いとは思いますが、歌や楽器の人が演奏しているお店もあります。
BGM的な感じで演奏するところも多いですが、意外としっかり聴いてくれるお客さんもいます。
曲数をたくさん用意しておかなければ演奏時間が足りなくなってしまうので、譜読みが苦手な人は大変です。
2~3時間の拘束時間で5千円~1万円くらいが相場でしょう。
ソリストとして演奏会に出演(全専攻)
はっきり言うと、卒業してすぐの演奏会や舞台は1番お金にならない活動かもしれません。
チケットノルマがあると集客できないとマイナスになりますし、若いうちはレパートリーも少ないので練習時間も取られます。
しかし、自分の研鑽のために取り組むことで応援してくれるファンが増えたり、実力や実績が付いて新しい仕事をもらえることもあります。
舞台で演奏することはとても華やかなに見えますが、大きなスポンサーのついてる公演以外は本当に赤字覚悟での出演だということを覚えておいてください。
エキストラとして合唱やオーケストラに出演(声楽、弦楽器、管楽器、打楽器)
欠員補充をするために、団員以外の人にオファーが来ることがあります。
演奏会ごとに、練習1回数千円、本番で1万円~などの報酬が出ます。
安定してオファーがあるわけではないので、これに頼って生活するのはかなり難しいです。
合唱は特に、もらえればラッキー、という頻度です。
オーケストラは公演数えも多いので、楽器にもよりますがエキストラで成り立っている楽団もあるようです。合唱に比べると仕事が回っている印象があります。
プロのオーケストラに所属する(弦楽器、管楽器、打楽器)

プロの楽団の入団オーディションに受かると入れます。
定員数が限られているため、基本的にあまり空席ができません。
空きが出ても極めて倍率が高く、本当に狭き門です。
日本にはプロのオーケストラが36団体ありますが、しっかり暮らせるお給料がもらえるのは8団体ほどで、その楽団は年収約400万円~で一番高給な楽団で1000万円ほどです。
大半のオーケストラが楽団の報酬だけで暮らせるほどでは無いので、他の仕事を兼業しているようです。
合唱団に所属する(声楽)
数は少ないですが、プロの合唱団があります。
オーケストラの楽団のように、毎月一定のお給料がもらえるところと、演奏会ごとにお給料がもらえるところがあります。
しかし、兼業をせずに食べていけるお給料をもらえる団体が無いのがオーケストラとは違いますね。
毎年募集があるわけではありませんが、オーディションに合格することで入団できます。
数年に1回、契約更新の試験がある団体もあるので、実力を磨き続けなければいけません。
4~5団体はあるようですが、固定給をもらえる団体で月10万円~です。
伴奏ピアニスト(ピアノ)
歌や楽器は、ピアノ伴奏無くしては成立しないこともたくさんあります。
演奏会の伴奏、コンクールの伴奏、合唱団の伴奏、合唱部の伴奏、大学受験の伴奏、音楽大学の伴奏員など、伴奏ピアニストとして活躍する場はたくさんあります。
個人での交渉がほとんどなので、曲数が多かったり難易度が高い曲だと、練習時間の割に稼ぎにならないことが起きてしまいます。
条件をしっかり提示して仕事を引き受けることが重要です。
自分でコンサートを主催する(全専攻)
定期的にコンサートを主催して、チケットの売り上げから会場費や人件費などの経費を引いたものが利益になります。
来てくれるお客さんを確保できないと成立しません。
集客が見込めるのなら、お客さんに喜んでもらって自分もやりたいことを仕事にできるので、とても素晴らしいことだと思います。
出演者へのオファー、選曲、会場探し、練習会場、会計、当日裏方など、入念な準備が必要です。
私もしっかり失敗したことがあります。
計画を立てたりするのが苦手なので、プロデューサーやマネージャーが欲しいなと思ってました。笑

教える仕事

学校の子どもたちに音楽の楽しさを伝えて1人でも多く音楽を好きになってもらったり、教室や合唱団の生徒たちと、日常的に音楽の素晴らしさを共有、共感できる、とても素敵なお仕事です。
学校の音楽の先生(全専攻)
公立学校の教員
採用試験を受けて学校の音楽の先生になるという道もあります。
音楽大学では、中学と高校の音楽の教員免許を取得することができます。
教員になる気の無い人は取るな、という先生もいますが、もしもあなたが教員免許の取得を迷っているようであれば取ることをおすすめします。
音楽が好きな子から嫌いな子までいろんな子がいますし、中高は担任も持つので大変ですが、生徒の人生に関わることができる、とてもやりがいのある仕事です。
部活動で合唱部や吹奏楽部を指導するとさらにやりがいを感じる人も少なくないでしょう。
ちなみに、中高の教員免許があれば、小学校の音楽専科をすることもできます。
公立学校の場合は、公務員ですので、副業が禁止されています。
また、平日はフルタイム勤務なので、演奏活動を自由に行うことは体力的にも時間的にもかなり厳しくなります。
全くできないわけではなく、単発の演奏会等であれば申請を出し許可がおりれば出演可能です。
給料は月20万円~で賞与、福利厚生等、諸手当もしっかりしています。

音楽科の非常勤講師(全専攻)
中高や専門学校で非常勤講師をするという選択肢もあります。
各自治体に講師登録するか、学校の募集を探して応募しましょう。
教諭や常勤講師はボーナス福利厚生がしっかりあるのに対し、こちらは単年契約で福利厚生も退職金もありません。多くはないですが、一応有給休暇はあります。
副業禁止の縛りは無いので、身軽に演奏活動を行うことができるのがメリットです。
授業1コマ3千円~4千円ほどです。
音楽大学の先生(全専攻)
普通科の学校で教えるよりも専門的なことを学生に教えることができるので、自分が学んできたことを余すことなくフル活用できます。
しかし、大学院卒や、留学経験などの経歴と実績、実力が無いとノーチャンスなのでとてもハードルが高いです。
専任の教員になれるのはさらに一握りなので、とにかく若いうちに実力を付けまくりましょう。
非常勤講師や教授で大幅に給料が違いますので一概には言えませんが、公立大学の教授だと平均年収約600~700万円です。
音楽教室の講師(全専攻)
たいていの教室は、”音楽大学を卒業か、それと同等の実力”を応募資格にしています。
人に教えることで新たな気づきがあったり、生徒さんの成長でこちらのモチベーションもあがり、自信にもなります。
音楽で仕事をしていく以上、人に教えるというスキルは磨いていくべきですし、磨いて損はありません。
生徒の集客は教室がしてくれますが、給料はそれほど良くありません。
個人経営の教室だと生徒さんのお月謝の半分、大手だとそれ以下しかもらえません。
時給にすると1500〜2000円ほどです。
教える経験を積んでいくことを目的にして、ある程度ノウハウが溜まったら、自分で教室を開いた方が良いなと思ってしまいます。
音楽教室を開く(主にピアノ)
自宅にピアノがある人は自宅で音楽教室を始めるのも良いですね。
大げさに始めなくても、知り合いのお子さんや口コミで集まる生徒さんだけでも十分やってみる価値はあります。
本格的に開業するのであれば、ピアノの購入や防音設備の整備など、初期投資はそれなりに必要ですが、子どもが多く住んでいそうな地域に店舗を借りるとたくさんの生徒を集めることもできるでしょう。
吹奏楽の楽器講師(管楽器)
吹奏楽部の外部講師です。
顧問の先生がすべての楽器を指導できるということは少ないので、外部から講師を呼びます。
自治体が募集している指導員の中にはとても薄給な条件の場合もあるので、経験が積めればいいやって人以外はしっかり確認してから引き受けましょう。
吹奏楽に力を入れている学校は全国にたくさんあるので、需要はあります。
合唱団の指導者(指揮、声楽)

自分で団員を募集して合唱団を作る、すでにある合唱団に指導者として雇ってもらうのどちらかです。
合唱団の指導で団員さんと人間関係を良好に築ければ、ファンになってもらえて集客にもつながります。
また、指揮者としての経験を積むこともできます。
報酬は自分で作る場合は 【団員の人数×月会費】、雇ってもらう場合は5000~1万円ほどで大きく違います。
BGMの作曲、既存の曲の編曲(作曲)

作曲を学んでいれば、作曲や編曲、楽譜の浄書をする仕事もあります。
最近ではクラウドソーシングなどでも、そのような仕事を請け負っている人を見かけます。
ただ、クラウドソーシングは相場よりも安い値段で取引されることが多いので注意が必要です。
作曲した曲が出版されたり、CDになったりすると印税で稼ぐこともできます。
まとめ
いかがでしたか?選択肢が少ないようにも感じますが、意外となんとか生きていけるものです。
実際私もなんとかなってます、今のところは、ですが笑
- 演奏する仕事
- 教える仕事
- 作曲の仕事
演奏だけで暮らしていける人はほんのひと握りです。一流の演奏家となっても大学などで教鞭を取っておられる方も多数いますし、演奏家にとって教えることは切っても切り離せないことなのです。
私は学生のころは「自分なんかが人に教えるなんて」と思い、教える側になることにはあまり前向きではありませんでした。
でも、卒業後、一度教えることの楽しさを知ってからは良い仕事だなあと感じてます。
特に子どもに教えるのは、素直に吸収してくれて、未来への可能性を見ることができるのでワクワクします。
音楽に関わる仕事をして、できるだけ音楽界に還していけたらなあと思っています。
音楽を愛する人が増えてくれれば、演奏を聴きに来てくれる人も増えてくれるはずなので!
私たちの頑張りが未来の音楽界を作ると思って頑張りましょう!