音楽家は自分でコンサートを企画する経験を一度はしておくべきだと思っています。
音楽を仕事にしていくのなら、自分をプロデュースする視点や経営者として事業を起こしていく感覚を身につける必要があるからです。
こういうことって、音楽大学ではあまり教えてくれなかったんですよね。経験と失敗を重ねて知っていくって感じでした。
でも、初めてだと何をすればも分からないし、失敗したらどうしようという心配がどうしてもつきまといますよね。
私も学生時代に仲間とコンサートを企画して失敗をした苦い経験があります。
コンサート自体は楽しかったですし今となっては良い思い出ですが、もっとしっかり準備して取り組むべきだったなと思います。
- 準備・段取りが未計画で遅れが出た
- 集客と経費のバランスがわからず赤字
- 共演者同士の人間関係
私の経験した失敗はこんな感じです。
特に3つ目、コンサートがきっかけで同じ志を持つ仲間と仲が悪くなるのは避けたいところです。
そんなことにならないためにも、初めての演奏会を成功させるための準備を詳しく説明していきます。
自主企画コンサートを失敗しないために、やるべきこと
初めてコンサートをする人にとっては、準備することが多いなあという印象を受けるかも知れません。
準備するべきスケジュールはこんな感じです。
- 企画発案(半年前から一年前)
- 会場予約
- コンサートの詳細を練る
- チラシ発注(4か月前)
- 練習と宣伝(3か月前)
- プログラム発注(1か月前)
仲間数人で企画する
初めて自主企画で演奏会をするのなら、1人だけでするのはやめておきましょう。
音楽仲間と協力するほうが、金銭面・集客・事務作業・演奏曲数と、あらゆる面でリスクが軽減できます。また、1人で動くよりも、たくさんアイデアを出し合って準備していくほうが圧倒的に楽しいです。
ただし、出来るだけ気心の知れた気の合う仲間数人を誘うようにしてください。経験上4〜5人くらいまでがベストです。
それ以上になると意見がまとまらなかったり、そもそも話し合いをするのが難しい、全員の予定が合わないなどが発端ですれ違いが増えまとめるのがとても大変です。
日程を決める
出演者が決まったらまずはざっくりで良いのでだいたいの日程を決めてしまいましょう。
半年後〜一年後くらいが目安です。というのも、会場の予約が開放されるのが半年前から一年前くらいなのです。希望日が他団体とかぶれば抽選になることもあるので候補日は複数挙げておきましょう。
会場選び

日程が決まったら、次は会場探しです。
次のことを踏まえて、いくつかの候補に絞りましょう。
会場の雰囲気

ホームページで見るだけではなく、できれば現地に足を運んでください。
演奏する場所の様子や、客席との距離感、控え室の数は広さも確認しておくと当日スムーズに動けます。
また、会場までの道のりを経験しておくことで、お客さんとして来やすい場所かもイメージしやすくなります。
座席数
初めての自主企画の場合、サロンや小ホールがおすすめです。
いきなり大ホールでやるのはやめましょう。
80人〜150人くらいまでを目安にしましょう。満席にして達成感を味わえたほうが、次につながります。
会場費
会場費はコンサートでかかる経費の大部分を占めるので、なるべく安く済ませたいところです。
自治体の運営している施設は比較的安価なことが多いです。
コンサートを平日の夜にするのか土日にするのかでも料金が変わってきますのでしっかり見ておきましょう。
アクセス
呼びたいお客さんが足を運びやすい場所で、なおかつアクセスの良い場所を選びましょう。
曲目を決める
コンサートの軸になる部分なのでじっくり時間をかけて決めましょう。
聴きに来てくれる人たちに楽しんでもらえる内容にすることを第一に考えてください。
例えば、前半は「クラシック音楽」、後半は「映画音楽」のように、なにかテーマを設定してそれに沿った選曲をしたり、客層をイメージして客層に合わせた曲を選んだりするのがいいでしょう。
誰もが知っている耳馴染みのある有名な曲を入れる、出演者全員で演奏する曲を用意したりするとお客さんに寄り添ったプログラムになります。
また、MCを入れて曲紹介などのトークを入れるのもわかりやすいです。
そうした工夫で、まずはファンを獲得していき、固定のお客さんを確保することができたらこだわりのある選曲にしていってもいいと思います。
公演時間は、休憩込みで1時間半〜長くても2時間以内に収めましょう。
もっと聴きたかったなぁ、と思ってもらうことが次の来場に繋がるので、長すぎるのは注意です。
コンサート名を決める
どんな内容のコンサートなのかが伝わりやすいタイトルを付けるのもいいですし、もしも、今後も同じ出演者でシリーズ化するのであれば、グループ名をつけてみるのもおもしろいと思います。
経費を見積もって、利益の見込めるチケット料金を設定する
- 会場費(ピアノ使用料、音響・照明含む)
- 伴奏ピアニストや助演の人への出演料
- 宣伝チラシ、プログラム、チケット印刷代
- 宣伝チラシ、プログラム、チケットデザイン料
- リハーサルのスタジオ代
- 当日受付スタッフ
ざっと見ても上記の項目で費用がかかってきます。
初めての演奏会だと利益を考えない人が多く料金を安めに設定しがちですが、演奏活動で仕事をしていくならチケット代をしっかりいただいて、それに見合ったクオリティのある演奏を提供することに責任を持ちましょう。
自分の生活も考えて、収支も意識して演奏会を続けていけるように企画したいです。
宣伝する
チラシとSNSのハイブリッドで宣伝するのがオススメです。
とにかく、死にものぐるいでたくさんの人に宣伝をしましょう。宣伝することで、自分へのプレッシャーにもなりモチベーションも上がります。
チラシ
配る見込み数+αで注文しましょう。
宣伝時期が早すぎるとコンサートの存在を忘れ去られてしまうので、コンサートの3ヶ月前ごろから宣伝を始めます。ガンガン配りまくってください。
発注から納品までは1ヶ月くらいです。余裕を持ってチラシのデザインを準備しましょう。
SNS
チラシは印刷代がかかりますが、こちらはノーリスクで宣伝できるので頻繁に投稿していきましょう。
ツイッター、フェイスブック、インスタグラム等、複数で宣伝するのもいいと思います。
文章での宣伝だけでなく、練習の動画の一部などを投稿するのも興味を持ってもらうのに効果があります。
曲順を決めてプログラム発注
曲順を決めるまでに、それぞれの曲の時間を測っておきましょう。
演出上無理のない曲順になっているか、公演時間が長すぎないかなどを見て調整しましょう。
出演者の名前や曲名、作曲者などに間違いが無いか必ずみんなで確認してください。
できたら、当日に間に合うように余裕を持って注文しましょう。
打ち上げの店予約

コンサート終演後の打ち上げはとても楽しみです。
私は、公演の達成感と打ち上げの美味しいご飯を味わうためにコンサートをしていると言っても過言ではありません。
公演後は思った以上に疲れますし、荷物も多いので、できるだけ会場から近めのお店を予約しましょう。
本番
当日はどうしても時間の余裕が無くなってしまいます。
特にリハーサルはある程度タイムスケジュールを決めて行動しましょう。
チケット受付を会場のスタッフがしてくれる場合もありますが、自分で雇わないといけない場合もあるので必要な場合は謝礼を渡して知人にお願いしましょう。
打ち上げ
コンサートの話で盛り上がりながら、おいしい食事を楽しみましょう!
この日まで頑張れば頑張るほどこの時間が最高の時間になります!。
自主企画コンサートで失敗しないために気を付けること。
事務的な仕事を分散させる
見ていただいたように、自主企画は考えること準備することがたくさんあります。
一緒に企画する仲間で仕事を分け合うことでお互いを尊敬することができますし、それぞれが責任感を持って本番に向かうことができます。
- 会計
- プログラム
- チラシ・チケット
- 練習日程
- 会場
- タイムスケジュール
などですが、人数によっては軽い仕事のものは兼任してもいいと思います。
特定の人に負担がいかないように、チームで作り上げる意識を持つことが成功につながります。
共演する仲間としっかり話し合いをする
コンサートの目的やテーマ、選曲やプログラム、役割分担など決めなければならないことはたくさんあります。
しっかり話し合って決めましょう。
コミュニケーションが少ないと、思わぬところですれ違いが出てきたり、公演にかける思いに温度差が生じたり、うまくいかない元になります。
コンサートがきっかけで疎遠になったという話も聞きますが、それは少し寂しいことだなと思います。仲が深まるような、そんな時間にしたいですね。
最後に
最後まで読んでいただきありがとうございました。
失敗した経験があるから、次にいかせるわけですから、失敗を恐れずにやってみてください。
この記事を読んだあなたはしっかりと準備し、計画を立ててのぞめるはずです。
失敗したとしても、きっと大きな失敗はしないでしょう。
お客さんがいるからコンサートができます。来てよかったな、また行きたいなと思ってもらえる公演を目指すことが何よりも大事です。
そして、共演する仲間がいるから頑張れます。みんなに感謝して、みんながいい気持ちになれる、しあわせなコンサートができればいいですね。